ノンポリが来たりて何か言う

今の時代、SNSで「私はノンポリです」などと言うと、冷笑主義だと批判されるかもしれない。しかし、支持政党なしが最も多い日本では、ノンポリこそがマジョリティなのが現実だろう。これは低い投票率にも現れているし、多数の国民の受け皿となる政治家や政党が不在なのは、国家として由々しき事態だと思う。
成人してから国政選挙、自治体選挙とも、私は全ての投票に行っている。私が投票するのは大抵、第三極と呼ばれるような政党だ。つまり、与党でも共産党でもない、中道左派と呼ばれるような勢力に投票してきた。しかし、今や中道左派で政権を担う能力がある政党はない。具体的な名前はあげたくないが、野党でそういう体で現在活動している政党も、どんどん左派側に寄っていってしまって、護憲を旗印にしており、安全保障を中心に、政策に対する現実味が薄くなってしまっている。また、コロナ禍では私権制限を促進するような主張を多く繰り広げたのは、与党よりむしろ野党だった。これは、野党がリベラリズム自由主義)ではなく、コミュニズム共同体主義)へ寄っていることを示している。(ちなみに昭和的家族や自己責任論の強い与党はリバタリアニズム、個人自由主義的であると考えている)
そのため、自由主義の私には投票先が無くなってしまっているのが現状で、それと同時に私自体がどんどん支持政党なしのノンポリへと向かっているのを感じている。これは絶望に近いのかもしれない。自分の声を代弁してくれる政党はない。自民党を日本人が選択し続けるなら、それを受け入れるので良いじゃないかという気持ちさえ芽生えている。
こういうことを言うと、「それならお前が政治家になれ」だとか「政治活動をしろ」という声が聞こえてきそうだ。一理あると思う。しかし、政治家になることが様々な意味で難しいことは誰もが知るところだろうし、自分の仕事や家庭を守りながら政治活動をするということも難しい。
私が求めているのは与党とは違う将来の日本のビジョンだ。様々な政治家がビジョンを打ち出しているが、なかなか共感できるものがないのである。かといって、国民から支持を得られるようなビジョンとその打ち出し方も思いつかないのである。
個人的に思いつく政策は下記。しかし、反発も大きいトピックだと思う。
 
▼安全保障
・安全保障のアメリカ依存を脱する。そのために改憲をして自衛隊の存在定義を明記する。それにより、沖縄の基地縮小を実現させる。これは長期的政策で実現していく。
靖国神社に代わる国立の戦争慰霊館を建築し、特にアジア諸国に対する第2次世界大戦での戦争責任の謝罪と反省を示すと共に、被害者と加害者双方としての側面から戦争を後世の日本人に伝える。
マイナンバーカードに個人情報を集約し、省庁間での情報共有や統合を可能にする。選挙の際にはマイナンバーカードによって身分証明を強化する。また、有事に迅速な経済支援、避難支援、医療支援を可能にする。全国民が確定申告をするようにし、義務教育にも税金の申告についてリテラシー教育を取り入れる。
・中国との友好外交を進め、米中対立については、各トピックについて是々非々で関わる。
入管法を改正し、難民受け入れの手順を明確化し、現在の難民待遇を改善する。現状の外国人労働者依存を認め、彼らの基本的人権をきちんと担保し、より海外からの移民に開かれた国を目指す。在留カードマイナンバーカードと同等の機能を持たせ、地方議会については1年以上の在留許可を持つ外国人に参政権を与える。3年以上の在留経験を持つ外国人には、地方議会議員になることが可能なビザを新たに創設し、その者には地方議会の被選挙権を与える。国政の被選挙権については、帰化を要する。ただし、2重国籍は認める。
・年金は身分に関わらず老齢年金に一本化し、障害年金は健康保険の管轄とする。老齢年金への税金の投入は禁止し、保険料調整のみで財源を確保する。
・CO2排出目標は撤回し、各国に陳謝する。理由は日本での原子力発電の困難さが福島第一原発事故で露呈されたこと。火力発電と自然発電に加え、新しく製造される機械や家屋には節電規制をかける。脱原発を行うが、そのための陣頭指揮権と責任は全て政府が持つ。そのため、気象大学校または防衛大学校に核物理学部を創設し、原子力発電に関わる人材を確保する。
少子化対策として、不妊治療及び出産費用の保険適用、妊娠診察費用の保険適用、出産時の救急車の利用可能とする。児童手当は1子につき、月5万円とし、小学校修了まで支払われる(総額720万円、財源は年間90兆円必要)。
高齢化社会であることを鑑み、財源の中心は所得税ではなく、消費税及び資産の売買時の課税とする。消費税は全てインターネットに繋がったキャッシャー端末で把握できるようにし、申告漏れを防ぐ。株や証券に関しては、売買益の税率を所得税と同等にする。相続税の税率を上げ、25歳以下への家族贈与税は一定額まで優遇する。
・国政選挙には中選挙区比例代表並立制を導入し、投票率と議員当選率をできるだけ近い状態にする。
憲法改正を行い、同性婚(性に関係ない婚姻)を可能にする。
憲法改正を行い、国会の解散条件を現状より制限し、解散権を政争の材料に使えないようにする。
▼経済支援
・農業規制の改革、イノベーションの推進により作地面積あたりの収益性を上げる。ベンチマークはオランダ。これにより農業関連の輸出を強化する。
ベンチャー企業支援として、会社登記から法人税を3年間支払い免除とする。それにより、新たなビジネスの創設を活性化する。大企業の節税対策にならないよう、免除要件の売上上限や持株条件については検討する。
・現在日本で起こっている格差は経営者vs.被雇用者よりも、投資家vs.経営者も含めた労働者であると考えている。社会保障の欄で示した株式売買の課税率を上げることを含め、会社が労働者に給与を高く還元するほど法人税を減額するなどによって、労働者へのフローの分配が起こりやすい仕組みを考案する。
▼市民とのアクセス
・動画プラットフォーム、生放送プラットフォームを活用し、現職議員が市民の声に広くアクセスできるようにする。ただし、独裁や衆愚政治を防ぐため、直接民主主義には否定的態度をとる。
公職選挙法を改正し、選挙管理委員会が専用の動画・生放送・ブログ等のプラットフォームを提供し、資金力による候補者の不平等を極力減らす。また、民間SNSを含む様々な政治活動、個人による政治献金の自由を促進する。
 
以上、思いつくがままに書いてみた。専門家からすると非現実的なところが多々あると思うが、一言で言えば、市民同士が互いに信頼し、優しく支え合う社会に日本がなってくれることを願っている。変化は急には訪れないだろう。だが、罵りや、それに対するカウンターばかりが目立つ社会において、相手がどんな人間であれ、共存共栄していくための仲間なのだという感覚を、少しでも思い返す機会と、考えを深める時間を、少しでも多くの人に持ってほしい。自戒も込めて。